1459 朱の門 [詩・エッセイ]
「朱の門」
大自然の中にある畑に行くと、
年に何回も観ることが出来ない奇跡のような光景に巡り合うことがある。
その日の畑も、
カラカラに乾いた畑の表面温度は50度を超えていた。
西の空が茜色に染まる頃になると
風は息を吹き返し
汗みずくの体に心地よい風を吹きかけてくれる。
ふと何気なく土手の方を見上げると、
鮮やか過ぎる
朱の門が突然現れた。
その門は、
真っ赤な色というよりは、
鮮やかな朱の門であった。
私は流れ落ちる汗を拭うのも忘れ奇跡のような光景に見惚れていた。
私は夢を見ているのだろうかと思い、
吾が鼻を抓んでみたが、
抓めば息が苦しく夢ではなかった。
それを確かめるべく近寄れば朱の門は消え、
先ほどいたところに戻ると
朱の門は現れる。
朱の門は竹の櫓を組んだものの一部に
夕陽が当たり
朱の門に見えたものであった。
朱の門、
この世の中にはこんな朱があることを教えてくれる
それは奇跡のような光景であった。