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1467 続女郎蜘蛛 [詩・エッセイ]


「続女郎蜘蛛」


あれから一週間くらいして、

私の予言通りタラの木の葉っぱは枯れて落ちてしまっていた。

女郎蜘蛛は、

その蜘蛛の巣はどうなったのであろうと周りを探しても、

蜘蛛の巣を張っていた痕跡すら残ってはいない?

蜘蛛の糸は

一欠けらも残さず回収したのだろうか?

訝しく思いながら小屋の入口の方を見ると、

何と、

女郎蜘蛛の蜘蛛の巣が前よりも大きくなって張り巡らされていた。

その立体的な女郎蜘蛛の巣の真ん中には

一段と大きくなった女郎蜘蛛が仁王立ちになって私を睨んでいる。

倒壊してしまった女郎蜘蛛の住居は

私の仕事場の入口に新築されていたのである。


そこは小屋の入口であり、

肥料などを入れている倉庫に繋がる所でもあり、

非常に迷惑でもあったが、

女郎蜘蛛が同居を望んでいるなら

多少は不便であっても我慢をしようと思った。


私はそれ迄も、

迷い込んだザリガニとも仲良くなり井戸で飼っていたが、

近所で使っている農薬の水が流れ込み死んでしまった。


次に友達になったのがミドリガメであった。

畑を耕していると集団で見つかったミドリガメの卵は七個、

それが全部孵化したので、

底の浅い容器で飼っていたら全員が脱出してしまった。

雨の日、畑の近くの池のほとりを歩いていたら大きなミドリガメに出会った。

それを、雨水がたまるように仕掛けしてある風呂桶で飼っていたら、

それも逃げ出してしまった。

その後、また畑の中でミドリガメの孵化したばかりの赤ちゃんを5匹を見つけ、

深い容器で飼っていたのに逃げられてしまった。

何で、あんなに深い容器から逃げ出せたのだろう?

未だに信じられない思いをしている。

草むらで見つけた正体不明のカメも二匹あり、

合計15匹のカメ全員逃げ出してしまったのである。


女房殿は迷惑だから引越しをしてもらえと言うが、

そんな事情があるので、

去ってしまったミドリガメたちを女々しく恨んではいるが、

少々迷惑はしているものの来る者は拒まず。

女郎蜘蛛と友達になることにしたのである。

女郎蜘蛛にとって、

その新居は一等地で、

小さな羽虫をたくさん捕えている。

今日もアシナガ蜂を網が捕らえ、

しばらくはアシナガ蜂と女郎蜘蛛は格闘していたが、

相手が強くてすぐに離れてしまった。

弱ってから料理をしてやろうと思っているのだろうか?

その前に、

小さな羽虫を器用にぐるぐる巻きにしている。


そんな様子を、

私は30センチくらいな距離から見ているが、

視力の悪い女郎蜘蛛は知らん顔して仕事をする。

私は涎を垂らし、

野良仕事もしないで、

まるで痴漢のように覗き見をしている。

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1466 女郎蜘蛛 [詩・エッセイ]


女郎蜘蛛


畑の小屋に座ってふと空を見上げると

青鷺は羽を軋ませて飛び

天は高く

薄い絹雲がベールのように広がっている

その天と私の間に何かがある

それは

突然現れた女郎蜘蛛の巣だった


主が紡いで張り巡らされた垂直円網の大きな網の住居は

夕陽に照らされて輝き

女郎蜘蛛の主は真ん中で仁王立ちになって

私を睨んでいる



台風20号で吹き飛ばされた作業小屋を一か月近くも掛かって作り上げた

真新しい柱と

割引の100円で買って来たタラの芽を植えたら大木になり

その葉っぱを結んで作られた

女郎蜘蛛の新居であったが、

その葉っぱは

もう枯れ始めていた


真新しい柱は倒れることは無いだろうが

大雨も降れば嵐も来る

それよりも何よりも

タラの木の葉っぱは必ず枯れて地上に落下する宿命にあるというのに

何故にお前は

こんな処に棲み処を作る


そんな小言を言っている私の目の前で

赤蜻蛉が飛んで来て網にかかり

ぐるぐる巻きにして捕らえ得意げな顔をしている

女郎蜘蛛よ

そんなお前なら

タラの木の葉っぱが落ちたとしても

きっと逞しく生きるだろう


もう日が暮れる

また明日

ミスターかミセスかミスかは知らないが

女郎蜘蛛よ

グットラック

幸運を祈る








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