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1477 祈り [詩・エッセイ]


「祈り」


おばあさんは

いつも祈っています


朝早く起きて ご先祖様に

野良で迎える お日様に

直角に曲がった腰を さらに深く曲げて

皴皴の干乾びた 手を合わせ

ただ無心に 祈ります


息子や娘のために

可愛い孫たちのために


怪我をしませんように

病気をしませんように

悪い事が起きませんように

どうぞお守りくださいと


仏様に

山の神様に

河の神様に

大きな岩の神様に

大きな木の神様に

八百万の神様に

お婆さんは祈ります

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1476 焚火 [詩・エッセイ]


「焚火」



霜柱が崩れ

白い煙は碧い空にのぼってゆく

枯れ木の燃える

こうばしい匂いと

パチパチとはじいて燃えるオレンジ色の

あたたかい炎に掌を翳していると

焚火のあたたかいぬくもりが芯までつたわり

体のなかから

石になっていたものが溶けてゆく


おでこが火照り

煙で眼がしょぼしょぼして

頬がゆるんでくると

炎のむこうから

少年のころのわたしが走って来る

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