1481 弥勒菩薩 [詩・エッセイ]
5月14日朝、
大リーグエンジェルスの大谷選手は今季初の一号特大ホームランを放った。
ほぼ、それと同じ時間に私は、
「神田神保町物語・月の舟」を脱稿して、
テレビを付けたら、
いきなり大谷選手のホームランだったので、
余りの偶然に身震いするほど感動したのであった。
「弥勒菩薩」
西の山の遥か彼方に西方浄土はあるという。
阿弥陀如来の極楽浄土は、人間界から西方十万憶の仏土を隔てた所にあると言う。
西方極楽は、西方安楽国は、西方十万億土の彼方にあると言う。
弥勒菩薩は、
未来に釈迦の後継者の如来となることが約束されている菩薩である。
今の弥勒は菩薩であるから、
まだ悟りの境地にない修行中の仏様である。
現在は仏教の世界の真ん中にある兜率天という天界で修業をしている最中であった。
いつ如来になるのかと言うと、
これが何と五十六億七千万年後という気が遠くなるような先のことである。
ちなみに、その時間は地球が誕生して四十六億年、そして、
この地球を含めた太陽系が消滅するまでに残された時間と、
ほぼ同じくらいだと言うのだから、
肉眼で見るだけであった古い時代の天文学に奇妙なる一致があるものである。
そう考えると、
人間や、地球や、太陽系が消滅する絶体絶命の時になって、
弥勒菩薩は弥勒如来となって現れ、
最期の救いの存在になるのである。
そう、弥勒菩薩は頼れる未来の弥勒如来なのだ。
弥勒如来は、
釈迦の救済から漏れてしまった人々を、将来救ってくださる仏様と信じられ、
飢饉などの天災や、戦に巻き込まれるのを恐れている人たちが、
最期の綱として、頼ろうとした仏様で、
将来如来として期待を一身に背負った存在なのである。
私は弥勒菩薩に言いたい。
そんなには待てないと、もっと早くしてくれと言いたい。
これまでの世界を見て見るがいい。
第一次世界大戦では、1600万人が戦死、2000万人が戦傷者、
第二次世界大戦の被害者は8500万人だった。
日本でも、
広島と長崎に戦争を早く終わらせると言う名目で、
現実には人体実験でもあったという原水爆が投下され、
広島だけで56万人が被爆している。
今の世界を見るがいい。
北朝鮮では親子三代が、
麻薬、贋札造り、暗殺テロを繰り返し、叔父を殺し、実の兄を暗殺し、
悪逆非道の限りを尽くしても、
国際社会は、
反吐が出るような独裁者をまるで英雄のように持て囃している。
私が狂っているのか?
それとも世界が狂っているのか?
悪魔の生まれ変わりのような、
トランプ大統領、プーチン大統領、ムンジェイン大統領、習近平国家主席、
自分の国さえ良かったらそれで好い、
自分さえ好かったらそれで好い、
そんなどす黒い霧が世界を覆いつくしている。
弥勒菩薩よ、
もう、そんなには待てない。
世界が終わってからでは遅いことを知るべきなのだ。
1480 光り輝くとき [詩・エッセイ]
光り輝くとき
「男でも女でも、生きとし生けるものは、
子孫を残せる能力のある時間だけが、光り輝いて美しいのである」
残酷ではあるが、
子供を産む能力を失った男と女の体は、
肌に張りが失せ、
皴が増えて干乾び、
人間の機能のすべてが衰えてしまい、
やがては朽ち果ててしまう宿命にあるのだ。
生あるものは、
生きている限り滅びてしまう運命にある。
絵画や彫刻などは絵空事であり、
本物の美は瞬間にあり、
刻々と流れていく時間の中にあるのだ。
本物の美に、
永遠の美などは存在しない。
消え去るものだけが美しいのである。
(神田神保町物語・月の舟より)