1487 畑の小屋 [詩・エッセイ]
「畑の小屋」
石ころだらけの借りた畑に小屋を建ててから、
もうかれこれ20年近くになる。
汗みずく、
泥だらけになりながら無我夢中になって働き、
よく風の通る
小石を敷き詰めた通路の椅子に座り
冷たい水で喉の渇きを癒し、
誰にも邪魔をされずに、
ただ、ぼんやりと空を眺めながら、
物思いに耽り、
居眠りをする。
それが無上の幸せ。
加山雄三ではないが、
「僕は幸せだなァ」
と これまで数え切れないくらい思ったものである。
これが小さな幸せか、
大きな幸せかは知らないが、
掛け替えのない大切なものと感じている。
外を向いても
内を向いても
不条理が我が物顔にまかり通っている。
そんな殺伐としたものから埋め合わせをしてくれるかのように、
私は独りだけの快楽を貪っている。