SSブログ
アフィリエイト収入

1503 影法師 [詩・エッセイ]


「影法師」


幼い頃

夕焼色の原っぱで

背中を真っ赤に染めながら

伸びたり縮んだりする影法師を追っかけたことがある

追っかけても

追っかけても

追いつくことの出来なかった

すばしっこい影法師


あれからいくたび星が周り

どれくらい時間は流れ去ってしまったのだろう


気がつけば

髪の毛は薄くなり

薄くなったものは白くなり

皮膚は弛み

歩行する影は

まるでナマケモノとそっくりである


影法師は今でも健在であるが

すばしっこい影法師は二度と戻っては来ない

ナマケモノになってしまった影法師が

のろのろと

後ろになったり前になったりして

何処までも付いて来る





nice!(66)  コメント(20) 

1502 桜の花 [詩・エッセイ]


「桜の花」


桜の花は

儚いとも

虚しいともいうが

桜の花は

ちっとも儚くもなければ

虚しくもない

一年も経てば

ほかの樹木と同じように

鮮やかな花を咲かせてくれる


儚くて

虚しいのは

千々に乱れる人の心

桜の花は

風の差配の命ずるがままに

平常心で咲いているだけなのだ

nice!(70)  コメント(18) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。