1503 影法師 [詩・エッセイ]
「影法師」
幼い頃
夕焼色の原っぱで
背中を真っ赤に染めながら
伸びたり縮んだりする影法師を追っかけたことがある
追っかけても
追っかけても
追いつくことの出来なかった
すばしっこい影法師
あれからいくたび星が周り
どれくらい時間は流れ去ってしまったのだろう
気がつけば
髪の毛は薄くなり
薄くなったものは白くなり
皮膚は弛み
歩行する影は
まるでナマケモノとそっくりである
影法師は今でも健在であるが
すばしっこい影法師は二度と戻っては来ない
ナマケモノになってしまった影法師が
のろのろと
後ろになったり前になったりして
何処までも付いて来る