1506メタセコイヤ [詩・エッセイ]
「メタセコイヤ」
メタセコイヤの木立は
美しい
空に向かって真っ直ぐ立ちながら
わきめもふらず
天まで登ろうとしている
春になると
緑あざやかな衣装をまとい
颯爽として
凛々しい
若武者になる
秋になると
衣の色を
枯れ草色に染めて
古武士の風格となり
やがて落葉する
メタセコイヤの木立は
美しい
遥か遠い異国より来たりて
逞しく生きる
1505 そよ風の道 [詩・エッセイ]
「そよ風の道」
わたしの体の内と外で蝉の声がする
カンカン照りの陽の下で
汗だくになって野良仕事をして
山小屋の壊れかけた椅子に座ると
何処からともなく
そよ風が吹いて来る
まるで岩清水のような涼しさだ
だれの目にも見えない
そよ風は
何処から吹いて来るのだろう
大地に
人が造った道があるように
きっと
そよ風にも
風が作った
風の道があるのだろう