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1497 友よ [詩・エッセイ]

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(田園の黄昏)


「友よ」


友よ

もう若くない老いた友よ

我がバッカスの楽園に来たれ

酒でも呑もうではないか


歳月は残酷なものだ

昭和 平成 令和と三代にわたり

うっかり

油断をして生きていたら

瞬きをしている間に喜寿を迎えてしまった


今は

メモリーの時代

若者や子供たちは二十四時間

それを空気のように吸って生きている

若者と老人は

メモリーの水と油の層に遮られ交わることはない


友よ

もう若くない老いた友よ

我がバッカスの楽園に来たれ

酒でも呑もうではないか


バッカスの神々も御照覧あれ


春には

満開の桜の木の下で

花の筵に車座で

盃に花びらを浮かべ

花の酒


夏には

天の川の酒を飲み干して

銀河の果てまで旅をし

盃に星を浮かべ

星の酒


秋には

野も山も谷川も山紫水明のとき

一枚の落ち葉に幽愁をおもい

盃に紅葉を浮かべ

紅葉の酒


冬には

降りしきる雪をかきわけ

枯れ木に火をつけ

盃に焚火を浮かべ

焚火の酒


友よ

もう若くない老いた友よ

限りある時間を華やかに

我とともに

よきバッカスの

美酒を呑もうではないか


汲むほどに

飲むほどに

ものはみな華やいで

ものはみなやすらいでくる


よき友よ

もう若くない老いた友よ

酒を呑もう

夜が明けるまで

酔眼朦朧語り明かして

酒を呑もう






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