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1466 女郎蜘蛛 [詩・エッセイ]


女郎蜘蛛


畑の小屋に座ってふと空を見上げると

青鷺は羽を軋ませて飛び

天は高く

薄い絹雲がベールのように広がっている

その天と私の間に何かがある

それは

突然現れた女郎蜘蛛の巣だった


主が紡いで張り巡らされた垂直円網の大きな網の住居は

夕陽に照らされて輝き

女郎蜘蛛の主は真ん中で仁王立ちになって

私を睨んでいる



台風20号で吹き飛ばされた作業小屋を一か月近くも掛かって作り上げた

真新しい柱と

割引の100円で買って来たタラの芽を植えたら大木になり

その葉っぱを結んで作られた

女郎蜘蛛の新居であったが、

その葉っぱは

もう枯れ始めていた


真新しい柱は倒れることは無いだろうが

大雨も降れば嵐も来る

それよりも何よりも

タラの木の葉っぱは必ず枯れて地上に落下する宿命にあるというのに

何故にお前は

こんな処に棲み処を作る


そんな小言を言っている私の目の前で

赤蜻蛉が飛んで来て網にかかり

ぐるぐる巻きにして捕らえ得意げな顔をしている

女郎蜘蛛よ

そんなお前なら

タラの木の葉っぱが落ちたとしても

きっと逞しく生きるだろう


もう日が暮れる

また明日

ミスターかミセスかミスかは知らないが

女郎蜘蛛よ

グットラック

幸運を祈る








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