1465 九月の空
「九月の空」
向日葵の花も蝉の声も
虚しく
萎び掠れています
あんなに威張っていた夏草も
いまでは
白髪交じりのお行儀のよいお爺さんです
そんなとき
山から吹いてきた風が囁きました
採りたての秋をもって参じましたと
白い雲は空高く
染み入るような青空のキャンパスに
大きな秋を描きました
真っ赤な曼殊沙華の花は
世の中の常識を一切無視するかのように
葉っぱも出さずに
彼岸も忘れずに
いきなり華やかに咲き誇っています
赤蜻蛉は群れて
秋のファッションショーよろしく
華やかに飛び回っています
黄金色に
たわわに実った稲穂は頭をますます低くして
お辞儀をしながら
秋が来たようで御座いますと
ご丁寧なご挨拶です
九月の空は
そんな声で一杯です